【2017年11月後半】世界遺産ニュース
【2017年11月後半】世界遺産ニュース
いよいよ明日から12月ですね。
2017年11月後半(11月16日~30日)までのニュースをまとめています。
今回は、驚きの世界遺産ニュースはありませんが、役立つ情報も交えて、紹介していきます。年明けまでは次の世界遺産委員会に関する新たな動きはでてこないでしょうか。
今回も3件ピックアップしていきます。
※リンク切れなどが発生している場合もありますが、予めご了承ください。
中国がユネスコ世界遺産委員会の委員国に
国連教育科学文化機関(ユネスコ)は14日、フランス・パリの本部で第21回世界遺産条約締約国総会を開催し、投票で128票を獲得した中国が世界遺産委員会の委員国となった。任期は4年。新華社が伝えた。
中国のほか、オーストラリア、バーレーン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブラジルなど11カ国も選出され、委員国は計21カ国となった。
(中略)
中国は1985年に締約国となって以降、世界遺産委員会の委員国を3期務めてきた。現在、中国には世界遺産が52カ所あり、その数はイタリアの53カ所に次いで世界2番目の多さとなっている。
中国がユネスコ世界遺産委員会の委員国に―中国メディア - エキサイトニュース
改めて復習ですが、
世界遺産委員会の委員国は世界遺産条約締約国のうち、世界遺産条約締約国総会で選出された21カ国から構成されます。
また、委員国はバランスが考慮され、最低でも下記の選出枠があります。
- グループI (西ヨーロッパ・北アメリカ) - 2か国
- グループII (東ヨーロッパ) - 2か国
- グループIII (ラテンアメリカ・カリブ海) - 2か国
- グループIV (アジア・太平洋) - 3か国
- グループV(a) (アフリカ) - 4か国
- グループV(b) (アラブ諸国) - 2か国
wikipediaより引用
中国はイタリアに次いで2番目に世界遺産が多い国ですので、発言力も大きいと思います。来年以降どういった対応を見せてくるでしょうか。
陵墓に眠るのは誰なのか 宮内庁と学者の見立てに相違
大阪府の百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群が世界文化遺産の国内候補になったことで、「仁徳天皇陵」や「応神天皇陵」などの陵墓が注目されている。だが、宮内庁が被葬者としている天皇や皇族には、学術的には疑問も少なくない。
陵墓とは、歴代の天皇・皇后の墓である「陵」と、皇族が葬られた「墓」の総称だ。宮内庁のホームページによると、同庁は現在、188の陵と555の墓、46の陵墓参考地(陵墓の候補地)など、計899件を管理している。
(中略)
宮内庁は一般の人の陵墓古墳への立ち入りを禁止している。百舌鳥・古市古墳群が世界遺産候補となった際にも「引き続き皇室の祖先のお墓として、地域と協力をしながら適切な管理を行っていく」としており、登録が実現しても一般公開などは難しそうだ。
陵墓に眠るのは誰なのか 宮内庁と学者の見立てに相違:朝日新聞デジタル
2019年(平成31年)に世界遺産登録を目指すことが先日決まった百舌鳥(もず)・古市古墳群ですが、以前から陵墓に埋葬されている本当の天皇と通称名で名の通った天皇陵が違うのではないかという議論が続いています。
今までは、それでもよかったのかもしれませんが、世界文化遺産の登録を目指すのであれば、その議論を明確にしなければ、顕著な普遍性(OUV)を示すのが難しいのではないかと考えられます。
特にここでも言及されている誰もが習ったであろう大阪府・堺市にある日本最大の前方後円墳「仁徳天皇陵古墳」は本当に祀られているのは仁徳天皇なのかということが専門家の間でも話題になっています。
詳しいことは専門家に譲りますが、埴輪の変遷からひも解くと時代が逆になっていることなどが議論になっています。
今後の動向が注目されますね。
雑穀街道:山梨・丹波山-相模原 世界遺産目指し取り組み
伝統的な山間地農業の雑穀栽培を広く普及させようと、相模原市緑区の藤野地区と、隣接する山梨県上野原市、小菅村、丹波山村の有志らが、藤野地区と丹波山村を結ぶルートを「雑穀街道」と位置づけ、山地農耕の文化風土や栽培・加工・調理技術の継承に取り組んでいる。持続可能な農業の実践地域として、行政の後押しを受けて、国連食糧農業機関(FAO)世界農業遺産の認定を目指す。
雑穀街道:山梨・丹波山-相模原 世界遺産目指し取り組み - 毎日新聞
タイトルだけ見ると誤解を与えますが、こちらは世界農業遺産を目指すというもの。
世界遺産とは似て非なるものです。
こちらは国連教育科学文化機関(UNESCO)ではなく国連食糧農業機関(FAO)により2002年に開始されたものです。
FAOは食糧危機を見据え農業の大規模化を推進し、緑の革命の考え方をうけ品種改良や肥料を大量に用いることでの生産性・収穫量の向上を是としてきた。その結果、一部の地域では環境破壊や企業参入による農業の工業化と寡占といった問題が生じてしまった。その反省を踏まえ、農業の原点を再確認し、農業就労者の減少と高齢化という問題も交えて考えていこうという取り組みが農業遺産の基本的姿勢である
世界農業遺産の認定地域の紹介もついでにしておきます。
2017年11月現在、世界で19ヶ国44地域、日本では8地域が認定されています。
まだまだ始まって間もない制度のため、認定地域の数も少ないですね。そして、日本の認定地域の占める割合が非常に高いのが特徴です。
今後、世界のバランスが課題になると思われます。
では、どんなところが登録されているかを同じく、農林水産省のHPから引用します。
世界農業遺産はまだまだ認知度としては、低いかと思われますが、日本が世界に対してリーダーシップを発揮して、想定される食糧危機に備えて、大きなムーブメントを興してくれることを期待しています。
それでは、また12月前半の世界遺産ニュースを楽しみにしていてください。